今回は従来のvSphereのvDSを使用した2オーバレイネットワークの構築方法と検証証跡をまとめました。
概要
vDSについて
vSS(vSphere Standard Switch)は各ESXiホストで個別に設定、管理される仮想スイッチになります。そのため、ESXiホストの台数が増加するほど、管理対象のvSSも増加します。
一方、vDS(vSphere Distributed Switch)はvCenterで設定、管理される仮想スイッチになります。vCenterで作成したvDSの設定が各ESXiホストに投入されるため、ESXiホストの台数が増加しても、管理対象のvDSの個数は増加しません。
NSX-T 3.0とvSphere 7.0から、NSX-Tのオーバレイネットワークで従来のvSphereのvDSを使用可能です。
検証結果
検証内容、構成
ESXi1とESXi2をTransport Zoneに参加させ、ESXi1とESXi2に跨るL2オーバレイネットワークを構築し、仮想マシンのR1とR2間で通信できるようにします。
今回はN-VDSではなく、従来のvSphereのvDSを使用します。
アンダーレイの物理スイッチではGENEVEの通信をVLAN 100に収容します。
ネットワーク機器のCLIの設定
vlan 100
!
interface GigabitEthernet1/0/1
switchport access vlan 100
switchport mode access
!
interface GigabitEthernet1/0/2
switchport access vlan 100
switchport mode access
interface GigabitEthernet2
ip address 10.1.1.1 255.255.255.0
interface GigabitEthernet2
ip address 10.1.1.2 255.255.255.0
vDSの準備
NSX-Tの設定を開始する前に、事前にvCenterでvDSを設定します。
vDSの作成
最初にvCenterでvDSを作成します。
Data CenterのアクションからvDSを作成します。
vDSの名前を指定します。
vDSのバージョンに7.0を指定します。
vDSのUplink Port数を指定します。また、ポートグループは不要なので、デフォルトのポートグループの作成を無効にします。
vDSの名前やUplink Port数が正しいことを確認し、FINISHをクリックします。
vDSが作成されたことが確認できます。
MTUの修正
NSX-TでvDSを使用するには、MTUを1600バイト以上に変更する必要があります。
vDSへのESXiホストの追加
最後に、vDSの設定をESXiホストを配布します。
アクションからvDSの設定を修正します。
ホストの追加を選択します。
vDSにESXi1とESXi2を追加します。
vDSのUplink PortとESXiホストのvmnicをマッピングします。
vDSへVMkernel Portや仮想マシンのvNICは移動しないため、そのままNEXTをクリックします。
変更内容を保存します。
vDSにESXi1とESXi2が追加されたことを確認します。
vDSのUplink PortにESXiホストのvmnicがマッピングされていることを確認します。
IP Address Poolの設定
ESXiホストのTEP用のアドレスを定義します。
Uplink Profileの設定
N-VDSと同様にUplink Portを定義する必要があります。
Transport Zoneの設定
ESXiホストが参加するTransport Zoneを作成します。
Transport Node Profileの設定
Transport Node ProfileではN-VDSではなく、先程、vCenterで作成したvDSを選択します。
ESXiホストにTransport Node Profileを割り当て
ESXiホストにTransport Node Profileを割り当て、NSX-TのオーバレイネットワークにESXiホストを参加させます。
Segmentの設定
Segmentを作成し、R1とR2のvNICを接続します。
状態確認
vCenterのvDSの状態確認
vDSにSegment用のポートグループが追加されていることが確認できます。また、N-VDSとは異なり、Segment用のVNIが確認可能です。
ESXiホストの状態確認(NSX ManagerのGUI)
TEP用のVMKernel Portが追加されていることが確認できます。
NSX-T用のオーバレイネットワークの構築にvDSを使用していることが確認できます。
ESXiホストの状態確認(vCenterのGUI)
N-VDSとは異なり、vCenterのGUIからTEP用のVMKernel Portが確認できます。
ESXiホストのvDSにSegment用のポートグループが追加されていることが確認できます。しかし、NSX-Vとは異なり、vDSを使用した場合でも、TEP用のVMKernel Portやポートグループの情報は表示されないことが確認できます。
疎通確認
R1の10.1.1.1からR2の10.1.1.2へPingを実施します。
R1の10.1.1.1からR2の10.1.1.2へのPingが成功することが確認できます。
R1#ping 10.1.1.2 source 10.1.1.1
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 10.1.1.2, timeout is 2 seconds:
Packet sent with a source address of 10.1.1.1
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1/1/2 ms
以下は物理ネットワーク側でキャプチャしたR1の10.1.1.1からR2の10.1.1.2へのICMP Echoになります。vDSを使用した場合でも、オーバレイネットワークのカプセル化にGENEVEを使用していることが確認できます。
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