NSX-T Multicast クライアント離脱時の処理

今回はNSX-Tのマルチキャストにおいて、クライアントがマルチキャストグループから離脱する際の処理についてまとめました。

この記事の目次

概要
1. Leave GroupとGroup Specific Queryについて
検証結果

概要

Leave GroupとGroup Specific Queryについて

クライアントがマルチキャストグループから離脱する際、クライアントはIGMPのLeave Groupと呼ばれるメッセージを送信し、LHRにマルチキャストグループから離脱する旨を通知します。

LHRはLeave Groupを受信後、同じマルチキャストグループに参加している他のクライアントが存在するか確認するために、Group Specific Queryと呼ばれるメッセージを送信します。

同じマルチキャストグループに参加しているクライアントはGroup Specific Queryを受信後、LHRに対して、Membership Reportを送信して、自身の存在を通知します。
もし、LHRがGroup Specific Queryを送信後にMembership Reportを受信できない場合、そのマルチキャストグループに参加しているクライアントが存在しないと判断し、マルチキャストトラフィックの転送を中止します。

検証結果

検証内容、構成

Tier-0 GWでSegment 1を収容します。
NSX EdgeにTier-0 GWのSRを配置し、物理ネットワークとNSX-Tの仮想ネットワークを接続します。

Tier-0 GWとR2でPIM-SMを動作させます。
R2の20.0.0.2/32をRPとして使用します。
Tier-0 GWとR2ではRPのアドレスを手動で指定します。

Segment 1の仮想マシンを230.1.1.1から離脱させます。

ネットワーク機器のCLIの設定

R2の設定


ip multicast-routing distributed
!
interface Loopback0
 ip address 20.0.0.2 255.255.255.255
!
interface GigabitEthernet2
 ip address 20.1.1.100 255.255.255.0
 ip pim sparse-mode
!
interface GigabitEthernet3
 ip address 20.2.2.2 255.255.255.0
 ip pim sparse-mode
!
ip pim rp-address 20.0.0.2
!
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 20.1.1.1

R3の設定


interface GigabitEthernet2
 ip address 20.2.2.3 255.255.255.0
!
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 20.2.2.2

IGMPのタイマーがデフォルト値の場合

IGMP Profileの設定

IGMPの各種タイマーはデフォルト値とします。

Tier-0 GWの設定

先程定義したIGMP ProfileをTIer-0 GWに関連づけます。

仮想マシンがマルチキャストグループから離脱する際の挙動

以下は仮想マシンが230.1.1.1から離脱する際の、仮想マシンとTier-0 GWのDR間のIGMPのやり取りになります。仮想マシンがLeave Groupを送信して、230.1.1.1から離脱する旨を通知していることが確認できます。また、Tier-0 GWのDRはLeave Groupを受信後、10秒間隔で2回ずつ、Group Specific Queryを送信していることが確認できます。

以下は仮想マシンが送信したLeave Groupのキャプチャになります。離脱対象のマルチキャストグループである230.1.1.1が格納されていることが確認できます。

以下はTier-0 GWのDRが送信したGroup Specific Queryのキャプチャになります。Max Resp TimeにはGroup Specific Queryの送信間隔がそのまま格納されます。230.1.1.1に参加している仮想マシンは、Group Specific Queryを受信後、Max Resp Time以内にMembership Reportを送信し、自身が230.1.1.1に参加していることを示す必要があります。